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院長ブログ西尾 謙三郎

美容医療の広告規制強化、症例写真の禁止の可能性ついて思うこと

2017.12.5

症例写真(ビフォアアフター画像)がホームページ上で禁止されるかもしれません。
症例写真を掲載できないイメージ
来年から医療法の広告規制強化によりホームページが広告とみなされて症例写真が載せられない可能性が出てきました。
消費者センターの美容医療の相談件数があまり減らないとのことで、消費者庁から厚生労働省に働きかけがありより規制を強化することになったそうです。
まだ決定ではありませんが、今後ビフォアアフター写真(症例写真)が載せられなくなる可能性があります。
もし、症例写真がダメになったら。。。症例写真の規制はお客様の利益になるのでしょうか。
議論があるところだとは思いますが、私は逆にお客様にとって不利益となる可能性があると考えています。
その理由は下で述べさせてもらいます。
※このブログはあくまで一開業医がこう思っているというものです。
独断と偏見なので間違っていることもあるかもしれませんがご了承ください。

広告はすでに規制されています!

一般の方は正確に知らない方もいらっしゃるかしれませんが、CMも、インターネットの広告も、電車の広告もすでに医療機関の広告は厳しく規制されたおり、当然症例写真は禁止され、文言ひとつとっても厳しいチェックが入り規制されています。
現在、広告とはみなされていないホームページやブログに症例写真を載せるのは問題ありません。
2017年8月から、厚生省が民間業者に委託して医療機関のホームページを巡回して怪しい症例写真やキャンペーンや日本一などの過度な文言を監視し、すでに2017年8月末~9月末だけで279件以上が不適切と把握され、クリニックに注意・指導をおこなっているそうです。
個人的にそのような監視はどんどんおこなっていただいて正確な情報を消費者に伝えてもらいたいと思っています。
もちろん当院では不正は行っておりませんのでそのような指導は入っておりません。
さて本題の来年の新たな規制についてですが、今まで広告とみなされていなかった、一クリニック、一個人のweb上のページを広告とみなし、ビフォアアフター画像の掲載が禁止されるかもしれなというものです。
ブログやSNSもその対象になる可能性があるとのことです。 ホームページなどのページは美容医療を受けようと思っているお客様が目的をもって検索して治療の情報を得たり、クリニックの特色を調べたりして比較検討するものですので、不特定多数の方に意図せず見てもらういわゆる”広告”ではありませんが、その個々のページを広告とみなして規制するということです。

消費者センターに相談される内容

消費者センターで多い相談は、カウンセリングに行ってみたら、高額治療を売りつけられたという相談だそうです。
他に返金や解約、広告、副作用、後遺症などに関する相談などがあるようです。
基本的には、意図せず高額な契約をしてしまったという相談が多いようですが、そのような相談は複数の特定のクリニックに集中しているかと思います。
私たち美容外科のドクターは、どのクリニックがそのような営業をかけているかある程度わかっています。
当院に来られるお客さんも、どこそこのクリニックは営業に囲まれて帰れなくてつらかったとか、高額施術をいつの間にか売りつけられて失敗したとかいう話をされることがあります。
あー、またあそこかという感じです。
例えばヒアルロン酸や糸のリフトを1本100万円近くとか、男性器の治療などで、手術中にこの方法でないと後戻りしてしまうなどと言われ高額治療を売りつけたりすることもあるそうです。
そのようなクリニックはだいたい決まっており、保健所の指導も度々入っているそうです。
そんな高額治療を売りつける営業がいったいどんなものなのかは、はっきり言って謎ですが、 当院ではおすすめできる良い治療を提案させていただき、納得できるものだけを選んでもらい、もし納得できなかったら無理にやらないことも選択枝だとご説明させていただき診療にあたっています。

美容医療も一部クーリングオフ対象になりました。

2017年12月から美容医療の一部がエステなどと同じように特定商取引法の対象となりクーリングオフの対象となります。
消費者センターでは高額治療やコースの解約や返金の相談も多いようで、中途解約が可能になることなどは消費者にとってはとても良いことだと思います。
ただ、主に規制の影響を受けるのは脱毛やレーザー治療など長期の治療・コース施術などが対象になります。
都心を中心に医療脱毛は競争が激しく、価格崩壊が進み、薄利多売で利益を出している現状です。
(規模の小さい当院では積極的にはおこなっていませんが。)
クリニックのその努力はお客様に価格などで還元されているということになります。
今後あまり締め付けが強くなってくると、業界自体が疲弊して逆にお客様が不利益にならないかと心配になります。
また、脱毛や機器の治療は繰り返すことで効果が出やすくなりますが、クリニックがリスクを嫌がってクーリングオフの対象になるお得なコース設定などを減らしていく可能性があります。
そうなると、コースなどでお安く治療したいお客様には不利益になるのではないかなとも思います。
なにより、上記のように今回適用されるクーリングオフ制度はヒアルロン酸1本100万円とか、不安をあおる男性器の高額治療などの相談は対象外なので、肝心の消費者センターに多い高額医療の相談には効果はなさそうです。
さて、話は変わって症例写真の規制に関してですが、デメリットとメリットを自分なりにまとめてみました。

症例写真を規制するデメリット

お客さんがどのクリニックが良いか選びにくくなる。

症例写真を多く出しているクリニックは、当然多くの施術をおこなっており、頑張っているクリニックが多いのも事実です。
症例写真がなくなれば、自分のやりたい施術をたくさんおこなっているクリニックを探しにくくなってしまいます。
また、施術者の技術やイメージによって仕上がりは微妙に変わってくるものです。
お客さんは自分の受けたい施術を多く行っているクリニック、自分の希望に近い施術を行ってくれるクリニックを症例写真を手掛かりに探そうとしますが、症例写真がなければ探しようがありません。
技術では判断しようがないため、クリニックの選択基準が減り、ホームページなどで上手に文章が書いてあるクリニックや、とにかく安いクリニック、名前が有名な大手クリニックなどに流れることになるかと思います。
高額な施術を売りつけるクリニックは虚偽の文言や安い価格で呼んでいつの間にか高額商品を売りつける営業をおこないます。
広告規制を強化しすぎると、お客様がクリニックを選びにくくなることで悪徳クリニックにさらにお客様が流れるようになり、逆効果になってしまうのは想像に難くありません。
また、症例の多さや技術での生き残りがしづらくなり、技術ややる気のあるドクターが淘汰される可能性があります。
美容医療は保険診療と違ってなかなか口コミが広がりにくいため、お客さんはクリニック選びにより苦労するようになるのは間違いないかと思います。

施術の効果が分かりにくくなる

症例写真をなぜこんなに多くのクリニックが掲載しているのでしょうか。
それは単純に効果がとても分かりやすく、伝わりやすいからです。
症例写真がなければどのような手術がどような効果が出るのかわかりにくくなります。
イラストもNGになるかもしれないという話もあります。
そうなると消費者は施術の効果もわかりにくくなり、施術後のトラブルが増えるかもしれません。
例えば、二重術とはどういものかを知りたい場合、文章だけで説明すると、 「二重術をおこなうと、まぶたのラインに折り目がついて目のぼやけ効果により目がやさしく大きく見えるようになり、まつ毛の生え際が見えるようになり、さらに目の開きも改善してさらに目が大きく明るくなります。」 といった内容を書くことになると思いますが、美容医療に詳しい人でないと???という感じかと思います。
一方、症例写真やイラストの場合、以下のように、このような手術ですと施術前後の変化を見てもらえば一目瞭然なわけです。
二重症例写真例
二重埋没法の手術のイメージ
施術の効果がわかりにくくなると果たして自分がどのような施術をした方が良いのかわかりにくくなり、より営業トークに頼ることになり、消費者センターへの相談も増えるかもしれません。

モニター価格としてお安く施術ができなくなる。

多くのクリニックではモニターとして症例写真を出させてもらえるかわりにお安く施術を提供しています。
症例写真が院内くらいにしか出せなくなると、モニター料金が減るかもしれません。
モニター料金がなくなるとお安く施術を受けることができなくなります。
また、病気を治すのとは違って、美容のお客様はモニターでなければ問題がなければ術後の経過観察にいらっしゃらない傾向があります。
術後のフォロー数も減って経過が追いにくくなり、技術の向上にも影響がでる可能性が多少はあるかもしれません。

症例写真を規制するメリット

不正な症例写真を見せないようにできる

症例写真を不正に加工しているクリニックもあるようです。
不正な画像でお客様が誤認して施術してしまうリスクを減らすことが出来るかもしれません。
ただ、、、 不正を行っているようなクリニックは一部かと思います。
不正な画像が見れなくなる半面、その他大部分のきちんとした症例写真もすべて見れなくなってしまいます。

過大な期待を減らすことができる。

人間の体ですので同じ施術をおこなっても効果に個人差はあるのは避けられないことです。
人によっては、写真と同じ効果を期待しておこなってはみたけれど、実際の効果のギャップに不満になることはあるかもしれません。
ただ、、、 個人差は症例写真を見る見ないにかかわらず多くの施術であります。
症例写真だけでなく、文章や、カウンセリング、口コミなどを参考に効果を期待するからこそ施術をされるかと思いますが、症例写真を規制したからといって期待していた効果とのギャップが不満になるお客様をどこまで減らせるのだろうかと思います。
効果がなかった場合の不満は減らせるかもしれませんが、写真と同じように効果を出せて満足できたかもしれないお客様もなくしてしまうことになるかと思います。
症例写真は変化が分かりやすい例であって個人差があることは、常識的にお客様は分かっているのではないかと思います。

購買意欲を減らすことが出来る。

症例写真のビフォアアフターを見て、こんなに変わるなら私もやりたいとなって美容医療を利用する人の絶対数を減らすことが出来るかも知れません。
ただ、、、 美容医療の規模を若干縮小できるかもしれませんが大きく減らすことはできないと思いますし、根本的な解決にはならないかと思います。
食欲、性欲、睡眠欲などいろいろな欲がありますが、美しくなりたい、若くいたいというのは理屈でなく湧いてくる欲求です。
自然に抗うのはダメだと理屈でも思っていても、鏡をみて老いを感じると落ち込んだり、ちょっと綺麗だねと褒められるとうれしくなったりするものです。
消費者センターの相談になる根本的な原因(悪徳クリニックの営業など)を取り除かない限り、美容医療の市場が少し減ったとしても、クレームはなくならないかむしろ増える可能性すらあるかと思います。

簡単に規制ができる。

規制としては、白黒つけやすく、簡単で分かりやすい規制かもしれません。
個々のクリニックにいちいち指導したり対応したりするよりは労力も少なくやりやすい施策なのかもしれません。

医療法や特定商取引法の改正で美容医療はどうなる??

私たち美容外科医も業界全体で、お客様のクレーム相談件数を減らしたいと思っていますし、日々の診療レベルで、多くの方に満足していただきたいと思って診療にあたっています。。
それは消費者庁や厚生省、国民生活センターなどの方も同じだと思いですし、消費者の相談に対して忙しい時間を割いて策を練っていただいているのには頭が下がります。
ただ、ここ最近の規制の流れは本当に相談件数が減るのだろうか、お客様の不利益にならないかという心配がふとよぎってしまいます。
規制強化の心理的なインパクトで悪徳クリニックが少しおとなしくなって相談が減る可能性はあるかもしれませんが。。。
一番危惧する点は、これら特商法や医療法で規制をかけたとしても、上記のように、高額治療を売りつけるクリニックにはなんの規制にもならないことです。
頑張っているクリニックが淘汰され、消費者がクリニックを選べなくなり、ますます悪徳クリニックに流れて行ってしまう気がしてなりません。 前述のように、クリニック毎の特徴や強みが出せなくなると、比べられるものとしては金額や知名度などになり、まさに相談の原因となるクリニックを利することになるではないかと思います。
どの業界でもそうだと思いますが、規制をかけるほど、闇は栄えると思います。 いずれにせよ、今後消費者にも、私たち美容外科医にも、そしてそれを監督する行政の方にもみんなが良い方向に向かってくれることを願っています。

美容医療のクレーム・相談を減らすために効果的な規制は

美容外科のお客様や関係者の多くはおそらく症例写真は必要だと思っているのではないでしょうか。
実際の美容医療に触れたことがない方では、症例写真は不当に購買意欲をあおってしまうと考えてしまうのは少し仕方がないことかとは思います。
ただ、不特定多数に向けておこなう広告ではすでに禁止されており、不特定多数の方の購買意欲を症例写真であおることはありません。
症例写真が加工されている可能性があるというのであれば、単に症例写真をなくすというのではなく、例えば加工しにくい動画は大丈夫だとか、加工しにくい他の手段を認めるなどの代替案が必要かと思います。
悪徳クリニックはとにかく集客して売上を上げることが目的で、お客様がお金にしか見えておらず営業から施術も基本的に同じ姿勢のため、症例写真を規制してもどんな規制をしても抜け道を探して形を変えてあり続けると思います。
一番有効な策は、相談件数が多いクリニックを指導して、従わないクリニックは業務停止などのダメージのある措置を講じるのが一番効果的だと思います。
それでも改善がないようであれば半永久に業務許可を出させなければ良いのではないでしょうか。
シンプルなそのような方法ですが効果てきめんかと思います。
また、営業の過度なクリニックは、来院して最初にドクターではなくカウンセラーがまずカウンセリングをおこない、見境なく高額治療を売りつけていることが多いと聞きます。
規制するのであれば、このあたりにメスを入れるのも有効じゃないかと思います。

一美容外科医として、日本人として願うこと。

いままで書いてきたような意見は一個人の意見ですが、普通に美容医療をおこなっているドクターなら共感するドクターも多いのではないかと思います。
現場の意見をもっと参考にして規制などおこなっていただいて、できれば症例写真は残すようにしていただければうれしいです。
少子化でどんどん日本の活力が失われていくのが誰の目にも明らかな時代です。
痛みを伴ってでもどんどん変化し成長していかないといけないのに、どんどん規制をかけて競争も成長もなくしてしまえば退化する一方の魅力のない社会になってしまいます。
どの業界についても言えることかと思います。 個人がどのように言おうが、もちろん規制がされたら粛々と遵守していきます。
今後、本当に消費者の利益になるような環境になっていくことを願っています。

- END -

プロフィール

西尾 謙三郎 医師
院長 西尾 謙三郎 医師
18年以上の実績を持つ美容外科専門医。丁寧で繊細な施術でお客様の望む実現を目指す。
「お客様のもつ本来の美しさを引き出す」ことをモットーに「もとび」美容外科クリニックを設立。
[プロフィール詳細]

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西尾 謙三郎 医師
医師
もとび美容外科クリニック 院長
西尾 謙三郎
経歴
平成14年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
平成26年 もとび美容外科クリニック開院
資格
美容外科専門医(JSAS)
日本アンチエイジング外科学会専門医
アラガンボトックスビスタ 認定医
所属学会
日本美容外科学会(JSAPS)
日本美容外科学会(JSAS)
日本形成外科学会
日本美容皮膚科学会
日本加齢医師会
日本レーザー医学会
日本美容外科医師会
18年以上の実績を持つ美容外科専門医。丁寧で繊細な施術でお客様の望む実現を目指す。
「お客様のもつ本来の美しさを引き出す」ことをモットーに「もとび」美容外科クリニックを設立。
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