20年以上の実績を持つ美容外科専門医。丁寧で繊細な施術でお客様の望む実現を目指す。 「お客様のもつ本来の美しさを引き出す」ことをモットーに「もとび」美容外科クリニックを設立。
【鼻整形】鼻尖縮小と耳介軟骨移植は必ず併用すべきかについて解説
作成日:2025.6.2
今回のコラムでは、鼻尖縮小は耳介軟骨移植とセットで受けるべきかについて解説していきたいと思います。
団子鼻が気になるとか、鼻先を整えたいという方は多いですが、そのような方では鼻尖縮小と軟骨移植を組み合わせておこなうことが多いです。
その点について症例写真を使いながら解説していきます。
目次
鼻尖縮小と軟骨移植の手術について
鼻尖縮小は鼻先を細くして団子鼻を改善する手術です。
一方、耳介軟骨移植は軟骨を移植して鼻先に高さを出したり、伸ばしたりして、豚鼻を改善させたりする手術です。
なので、鼻尖縮小は細くする手術、軟骨移植は高くしたり伸ばす手術と、それぞれ狙う効果は違います。
ここはまず明確に区別して知っておく必要があります。
それぞれについて、詳しくは施術ページで解説しているのでご確認ください。
ちなみに、鼻尖縮小と耳介軟骨移植を合わせて鼻尖形成と称して行っているクリニックもありますが、定義があいまいなので当院では鼻尖形成という言葉は使っていません。
鼻尖縮小と軟骨移植をセットで受けるべきか
さて、本題の鼻尖縮小と軟骨移植はセットで受けるべきかという点について解説していきます。
今話した原則にのっとって考えると、団子鼻を改善させたい、かつ、鼻先を高くしたい、もしくは鼻先を伸ばしたいという方では、鼻尖縮小と耳介軟骨移植を同時におこなうと良いということになります。
そして実際、団子鼻を気にされている方では、鼻先の高さが低かったり、アップノーズで豚鼻気味だったりする方が多いので、組み合わせ治療をおこなう方は多くいらっしゃいます。
逆に、団子鼻が気になるだけの方は、鼻尖縮小だけで良いですし、鼻先の高さを出したい方や鼻先を伸ばしたいだけの方では、耳介軟骨移植だけで良いということにもなります。
ただ、現実には、鼻尖縮小や耳介軟骨移植を単独でおこなう方はいらっしゃいますが、少数派です。
鼻尖縮小と耳介軟骨移植を組み合わせる方が圧倒的に多いんですね。
鼻尖縮小と軟骨移植を組み合わせる理由
セットで行う方が多いというのはご理解いただけたかと思います。
それでは、鼻尖縮小と耳介軟骨移植を組み合わせる方が多い理由について解説してきます。
まず、鼻尖縮小単独でおこなう場合について考えてみます。
鼻尖縮小を希望される方は団子鼻の方ですね。
鼻尖縮小単独でもそれはそれでやる方はいらっしゃいますし、鼻先を細くするという点では問題はありません。
ただ、鼻尖縮小をお考えの方は、団子鼻でかつ先ほども話したように、鼻先が短かったり、低い人が多いです。
そして、鼻先を細くシュッとさせたいというご希望があります。
鼻先をシュッと整えるためには、鼻尖縮小だけでは効果が弱いこと多々あります。
鼻尖縮小とは通常鼻翼軟骨を寄せたりして細くする手術です。
画像のイメージとしてはこの赤い線で囲まれた部分を細くする手術です。
この部分が細くなるだけでも少しすっきりはするのですが、実はそれだけでは、シュッとした感じを出すには不十分なことがあります。
鼻先の先っぽ部分というのは鼻先の印象でとても重要な部位です。
図で言うとこの緑色の部分です。
緑色の部分は、団子鼻の多くの方では、低かったり、短かったりします。
この緑の部分、鼻先の先ですね、ここが低いと、メリハリがなく、豚鼻っぽく見えてしまいます。
鼻尖縮小ではこの鼻先の先っぽを整えることができません。
逆に、耳介軟骨移植ではその方の鼻先の先っぽに最適な方向に高さを出すことができます。
多くは斜め下方に伸ばすんですが、鼻先の先っぽに高さを出して整えます。
山をイメージしてもらうと、鼻先にきちんとお山の頂上を作ってあげるイメージですね。
すそ野を細くしても山に頂上がないとシュッとした感じにはならないので、すそ野を細くかつお山の頂上もできることで初めて山全体がシュッとした形になるんですね。
ですから、赤丸部分が鼻尖縮小で細くなって、緑丸の部分、鼻先の先っぽが軟骨移植で斜め下方向に伸びることで、鼻の先っぽまで鼻全体に細さが連続して、団子鼻感をしっかり改善させることができるんです。
これで鼻先をしっかりシュッとさせることができます。
鼻尖縮小と軟骨移植を組み合わせた症例
症例写真を見てもらうとより分かりやすいと思うので症例写真を使いながら解説していきます。
症例写真①
この画像の方はストラットも立てながら鼻尖縮小と耳介軟骨移植をおこなっています。
ストラットというのは鼻翼軟骨を補強するための軟骨移植です。
(手術前)⇒(手術後)



まず正面からの術前術後の比較を見てみましょう。
まず赤丸の部分の鼻尖縮小の効果について見ると、離れていた鼻翼軟骨が寄って鼻先が細くなったのが分かります。
あとは、緑の丸部分にも注目してください。
緑の丸部分が軟骨で斜め下方に伸びましたね。
術前は鼻先の先っぽは小鼻より高い位置にある感じでした。
つまり鼻先は短く見えることになって、豚鼻っぽく見えてしまいます。
術後は鼻先の先、緑丸の部分ですね。
が、下方に伸びたのが分かります。 赤丸部分の鼻先が細くなって、緑丸部分の先っぽに頂上ができたことで、鼻先全体が細くシュッとして見えるようになり、団子鼻感もしっかり改善しました。
次に側面像を見てもらいます。
(手術前)⇒(手術後)



術後は鼻先にお山の頂上ができてシュッとしましたね。
図の緑丸の部分ですね、鼻先の先に、斜め下方に耳介軟骨を移植して頂上を作りました。
鼻尖縮小と軟骨移植を同時におこなうと正面像だけでなく、側面でも鼻先がシュッとするのが分かると思います。
あとは、斜めからの画像も見てもらいます。
(手術前)⇒(手術後)



こちらも、赤丸部分に注目すると鼻尖縮小で軟骨が寄って細くなったのが分かります。
次に鼻先のてっぺん、緑丸部分に注目すると、軟骨移植で斜め下方に伸びて頂点ができたことで、鼻先がシュッとしたのが分かりやすいかと思います。
このように団子鼻をすっきりさせるには、鼻尖縮小単独よりも、鼻の先に軟骨移植で頂上を合わせて作ってあげる方が、より細く、整ったお鼻になりやすいということがあります。
症例写真②
次に、もうひとかたの症例写真を見ていただきます。
(手術前)⇒(手術後)



術前は正面から見るとこのような感じで、軽く団子鼻感がありました。
鼻先もやや上向きで短めです。
鼻先をシュッとさせるため鼻尖縮小と耳介軟骨移植をおこないました。
色付きの丸を見ていただくと、赤丸部分は鼻尖縮小で細くして、緑丸の鼻先の先には耳介軟骨を移植して厚みを出しました。
ちなみに、この方は小鼻も気になるとのことで小鼻縮小も同時におこなっています。
術後の正面の画像を見ていただくと、赤丸部分が細くなり、緑丸部分は軟骨移植で伸びて、鼻先全体がスッキリしてシュッとしましたね。
組み合わせの効果がしっかり出ています。
この方は小鼻も小さくしていますので全体に鼻の印象が小さくなってさらにすっきりしました。
次に斜めからの画像も見てください。
(手術前)⇒(手術後)



赤丸部分を細くして、緑丸の鼻先の先っぽに厚みを出しています。
術後は斜めから見ても鼻先がシュッとしてきれいになったのが分かります。
斜めからの画像だと軟骨移植の効果が分かりやすいですね。
以上が組み合わせ治療の効果の症例写真でした。
鼻尖縮小単独の症例
次に鼻尖縮小単独で手術をおこなった方の症例写真を見て頂きたいと思います。
症例写真③


もともと鼻先の高さが低かったり、アップノーズが強いわけではなったので鼻尖縮小だけおこなっています。
鼻尖縮小で鼻先部分が細くなりましたね。
正面から見た団子鼻感が改善しました。
ただ、鼻先の先っぽを見てもらうと、軟骨移植をしていないので厚みは出ていません。


斜めから見ていただくと、鼻先の頂上に変化がないのが分かりますね。
もともと鼻先に頂上がない方ではないのでこれはこれで良いかと思いますが、耳介軟骨移植でもう少し鼻先の頂上を作ることができれば、もう少し鼻先全体が細くシュッと見えるようにできたかもしれません。
症例写真④
もうひと方の鼻尖縮小単独の画像も見てもらいます。


もともと軟骨がしっかりしている方で、鼻先に高さがありました。
鼻先を細くしたいとのことで、鼻尖縮小を単独でおこいました。
正面から見ると、術前の鼻先の先は短いわけではなく、逆に下に長い状態でした。
側面から見ると鼻先はややした方向に長めなのが分かります。
お客様は、逆に下がった鼻先を上げたいとご希望され、鼻尖縮小の際に鼻先を少し上げるように処理しました。
もともと軟骨がしっかりしている方だったので、ピンチノーズになりすぎないように鼻先の自然な幅(tip defining point)を残して鼻尖縮小しています。
正面の画像では、鼻先の鼻翼軟骨が寄って細くなったのが分かります。


下からの画像だと、平らぎみだった鼻先が術後は細くなったのがよく分かりますね。
鼻先の自然な幅(tip defining point)も残り、自然な感じで細くなりました。


次に側面像を見ていただくと、やや下に伸びた鼻先を鼻尖縮小の際に鼻先を上げるように調整したので、下向きぎみだった鼻先が、ご希望通りやや上を向いて整ったのが分かります。
この方のように、鼻先に高さや長さがある方の場合では、軟骨移植はせずに鼻尖縮小単独でおこなうのが良いです。
耳介軟骨移植単体はおすすめしない
それでは、次に耳介軟骨移植単独でおこなう場合についても考えてみます。
これは、以前のコラムの「耳介軟骨移植のみを施術する場合のリスク」でも解説していますが、多くの場合では、おすすめではありません。
①団子鼻が悪化するリスク、②ずれるリスクがあるという理由です。
詳しく解説します。
おすすめしない理由①団子鼻が悪化するリスク
耳介軟骨移植単独だと軟骨を移植したぶん、単純に鼻先のボリュームが増えて鼻先がさらに大きく見えてしまいます。
つまり、団子鼻感が強調されてしまうリスクがあるんですね。
先ほどの図で言うと、赤丸の幅はそのままで、緑丸部分にボリュームが出るだけでは、効果がイマイチになってしまうどころか団子鼻がさらに気になってしまうんですね。
おすすめしない理由②ずれるリスク
耳介軟骨移植単体の場合は、鼻先に空間を作って移植軟骨をポイっと入れるだけの手術になります。
ですから、術者にとっては手間のかからない手術かもしれません。
ただ、軟骨が意図した位置に固定されないので想定の位置よりずれるリスクがあります。
つまり、左右差が出たり、想定と少しずれた形になったりして、コントロールしきれない可能性があるんですね。
その一方で、鼻尖縮小と同時におこなった場合は、形成した鼻翼軟骨に、伸ばしたい方向で移植軟骨を確実に固定できるので、鼻先の形をコントロールしやすくなりますし、左右差のリスクを抑えることができます。
他院で軟骨移植だけを好んでやるクリニックもありますが、鼻先が大きくなったり、ずれたりして修正のご相談にいらっしゃる方はちらほらいらっしゃいます。 当院の場合は、耳介軟骨移植単独でおこなう方はあまりいらっしゃり いません。
鼻尖縮小単体の手術後の追加手術について
さて、ここまで鼻尖縮小も耳介軟骨移植も単独でおこなうとイマイチな結果になる可能性があることを説明しましたが、もし、単独で手術をおこなった場合、やっぱり後で後悔して再手術したいとなった場合、追加手術はできるでしょうか。
答えは、できなくはないですが、リスクが出てきます。
鼻尖縮小も耳介軟骨移植も、同じ傷から切っておこなうので、再手術の場合は、一旦ばらして、もう一度組み合わせ手術を行うような形になります。
一度手術をすると癒着をおこすため再手術は初回の手術より難しくなります。
最初はクローズ法でできたとしても、再手術はオープン法でやらないといけなくなることも多くて、その場合外側に傷が出ます。
一度治った傷をはがしてもう一度いじると、癒着で術者はにとっては手術の難易度が上がります。
また、拘縮(硬くなったり)するリスクや、血腫(出血しやすくなったり)になるリスク、血流が悪くなり感染や傷が目立つリスクが出てきます。
ですから、再手術は可能ですが、今言ったリスクが増すことを理解してもらう必要があります。
そういう意味でも、やるなら最初から組み合わせ手術をおこなったほうが良いということなんですね。
まとめ
まとめますと、鼻尖縮小や耳介軟骨移植の単独の手術でおこなう方は少なく、効果がいまいちになることがあります。
耳介軟骨移植単独の手術は、鼻がスッキリというか大きくなってしまうのであまりお勧めしません。
鼻尖縮小単独でおこなうと良い方もいらっしゃいますが、多くの方では鼻尖縮小と耳介軟骨移植を組み合わせた方が良い場合が多いです。
そうすると団子鼻を気にしている方では、よりシュッとしたきれいな鼻先にすることができます。
あとは、鼻尖縮小と耳介軟骨移植を段階的におこなおうとするのは、リスクが増しますのであまりおすすめはできません。
鼻尖縮小と耳介軟骨移植はほぼセットのような手術なので、鼻先を整えるには効果的ですので是非お考えになっていただければと思います。
もちろん適応はありますので気になる方はカウンセリングでご相談ください。