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美容コラム/ Beauty column

【ヒアルロン酸治療】SNSで見かけるヒアルロン酸注射の症例写真に騙されないで

作成日:2024.11.3 更新日:2024.12.7

 

【ヒアルロン酸治療】SNSで見かけるヒアルロン酸注射の症例写真に騙されないで

 

ヒアルロン酸の症例について

 

最近SNSなどで、鼻やアゴ、額など、ヒアルロン酸を入れた後のきれいな症例がたくさん出てきますね。
鼻がぐんと高くなってアゴもすっきりシャープになって。 額も丸々としてきれいですよね。
あんなふうになれたらいいなぁという気持ちよく分かります。

ヒアルロン酸はプチ整形なので、ダウンタイムもあまりなく治療ができるので、こんなに手軽にきれいな効果が出るのはうれしいですよね。
ただ、ここで注意点があります。 あのきれいな写真の多くはいつ撮ったの画像だと思いますか?
お気づきの方も多いかもしれませんが、ほとんどの画像は注入直後の写真なんです。 ここがミソなんです。

 

 

 

ヒアルロン酸注入直後の形がずっと続くのか?

 

実は、ヒアルロン酸は手術直後は過剰に高さが出ている状態であって、本当の完成ではありません。
注射針を通すだけで刺激でむくみが出ます。一度注射針を通しただけで若干ボリュームが出るんですね。
さらに、そこにヒアルロン酸が入ればさらに刺激でむくみは増します。 あとは麻酔ですね。

例えば鼻先などではあらかじめ麻酔をしてから注入しますが、麻酔を入れるだけでさらにぐっと高さが出ます。
ヒアルロン酸を入れる前に結構鼻先に高さがでていたりします。 あと、一番は注入した後に形がなじむということです。

注射して高さを出せば必ずそれに抵抗するように戻ろうとする力も発生します。
そもそもヒアルロン酸は柔らかいため、戻ろうとする力である程度押し戻されます。
ヒアルロン酸の持ち上げる力と、戻ろうとする力が釣り合ったところで安定します。 これがなじんだと言われる状態です。
こんな感じにヒアルロン酸が入り終わった注入直後は、むくみなどが相まって注入部位は過剰にシャープできれいに上がっている状態になります。

 

ただ、先ほど言いました通り、むくみや腫れはすぐに引いて、ヒアルロン酸も組織の硬さに負けてなじんで後戻りします。
注射直後の状態はヒアルロン酸の本来の効果ではないのがおわかりでしょうか。

 

 

本当のヒアルロン酸の効果は?

ヒアルロン酸の注入直後は、腫れやむくみで過大に効果が出ていると考えて下さい。

処置直後のきれいな症例写真などを見て、こんなにきれいに上がるんだ、これならやってみたいと思うかもしれませんが、これはあくまで直後の状態で、完成はもう少し落ち着いた状態になると知っていただくと良いです。
ヒアルロン酸はなじんだ時が本当の効果の完成になり、そこから徐々に吸収されてなくなっていきます。

それでは、ヒアルロン酸はいつなじむのでしょうか。
むくみが取れてヒアルロン酸がなじむのは大体1週間後で見ていただければと思います。
そこが本当のヒアルロン酸注入の効果になります。

何度も言いますが、本当のヒアルロン酸の効果は1週間後だと思ってください。
そこから徐々に半年から数年かけて吸収されていきます。
なので本当は、ヒアルロン酸の症例写真は1週間後の状態が一番重要になります。

ただ、この大切なヒアルロン酸の1週間後の症例写真はSNSではなかなか見つかりません。
なぜ1週間後の画像は載せないのでしょう。 それは、1週間後にあと戻りして映えなくなるのが分かっているからです。
最近は美容外科は過当競争になっているので少しでも映え写真を載せないとフォロワーやいいねも増えないし集客できないというのがあるのかもしれません。
それはそれで時代の流れでしょうがないことではありますが、その裏事情を見ている側はしっかり知ったうえで参考にする必要があるかと思います。

当院に来院されたお客様で、SNSで有名なクリニックで鼻先のヒアルロン酸を入れたことがあるお客さんがに話を聞くと、直後は良かったけどすぐに戻ってイマイチだったとおっしゃる方は結構いらっしゃいました。
ただ、ある程度効果は保ったという方もいらっしゃいます。
みんながみんなぐっと減ってしまうというわけではありませんが、思っているより保たないことは結構あるんだという事実を知ってもらうと良いでしょう。
それを知らずに、直後のSNS栄えのする画像ばかりみてしまうと、1週間くらいでかなり戻ったと感じてしまう可能性があります。

戻るのは効果が完成していないので当然です。 正確には戻っているのではなく、まだ効果が完成していないからです。
皆さんは、処置直後の数日のために施術されているわけではありませんよね。 半年とか1,2年は期待した効果を保たせたいと思って注射しているわけです。
そうであれば、直後の状態だけでなく、ちゃんとなじんだ1週間後の状態の症例写真もきちんと見て考えていただいた方が、現実的かと思います。

ただ、現状では、1週間後の写真を掲載しているところは少ないのでなかなか探すのは難しいかもしれません。

 

 

直後と1週間後の経過

 

それでは、実際にヒアルロン酸を注入して直後と1週間後の状態を見ていただこうと思います。

ボリュームが減った人、ある程度保った人などいろいろな方の経過が見れて、ヒアルロン酸の効果の実際がわかるかと思います。

ヒアルロン酸(アゴ)

(処置前)⇒(直後)⇒(1週間後)

症例①処置前1.jpg
症例①処置直後1.jpg
症例①1週間後1.jpg
症例①処置前2
症例①処直後2.jpg
症例①1週間後2

この方はあごのヒアルロン酸を入れていますが、あごが斜め前方に突出してシャープになりましたね。Eラインも整いました。
ここでは、処置直後と1週間後に注目してください。
直後はかなりシャープでしたが、1週間するとやや突出感が減ってなじみましたね。
1週間後は直後より少し減ったのがわかりますが、処置前に比べると高さが出てシャープになっているのがわかります。
こんな感じでなじむと効果はややマイルドになります。この1週間後の状態が現実的な効果と思ってください。

 

 

鼻ヒアルロン酸(鼻)

(処置前)⇒(直後)⇒(1週間後)

症例②処置前1
症例②直後1
症例②1週間後1
症例②処置前2
症例②直後2
症例②1週間後2

次は鼻根のヒアルロン酸です。
直後は、正面から見ると直後はむくみもあってシャープに鼻筋が通っています。
側面から見ても目頭の高さで鼻根が高くなったのがわかります。

ただ、1週間後を見ていただきますと、正面から見ると鼻筋がかなり落ち着いて弱くなりました。
側面から見ると、1週間後は直後に比べるとやや減ったのがわかりますね。
処置前と1週間後を比べると、もちろん鼻根に高さは出てくれています。

 

 

鼻ヒアルロン酸(鼻)

(処置前)⇒(直後)⇒(1週間後)

症例③処置前1
症例③直後1
症例③1週間後1
症例③処置前2
症例③直後2
症例③1週間後2

次の方の画像は、処置直後は、正面から見るとシャープになって鼻筋が通って、斜めからの画像だと、鼻根にしっかり高さが出たのがわかります。
ただ、1週間後の画像を見ていただくと、直後の状態より効果はかなり落ち着いてたように見えます。
正面ではむくんでいた鼻筋が落ちつきました。 斜めからの画像では、直後よりむくみが減ってなじんで高さが少し減ったのがわかります。
処置前より鼻根は高くなっていますが、直後ほどではありません。
このように、1週間するとなじんで効果は少し落ちます。ただ、これが現実的な効果になります。

 

 

鼻ヒアルロン酸(鼻)

(処置前)⇒(直後)⇒(1週間後)

症例④処置前1
症例④直後1
症例④1週間後1
症例④処置前2
症例④直後2
症例④1週間後2

4人目の方も鼻根にヒアルロン酸を入れています。
直後は正面からも横からもしっかり高さが出ています。鼻筋がしっかり通りましたね。
横からの鼻根の高さもしっかり出ています。
1週間後を見ていただくとむくみ感は減ってなじみましたが、正面からの鼻筋はしっかりキープされています。
横から見た高さもそれほど減った感じはありません。
この方は土台がしっかりあって組織も薄いので効果は保ちやすく後戻りが少ないのかと思います。
このように、ヒアルロン酸の効果が保ちやすい方もいらっしゃいます。

 

 

鼻ヒアルロン酸(鼻)

(処置前)⇒(直後)⇒(2週間後)

症例⑤処置前1
症例⑤直後1
症例⑤2週間後1
症例⑤処置前2
症例⑤直後2
症例⑤2週間後2

それでは、最後の症例の方です。
この方は自然な感じで鼻根にヒアルロン酸を入れています。直後は鼻根に少し高さが出ています。
2週間後の画像を見てみましょう。 直後に比べて少しむくみ感が落ち着きましたが、高さはそれほど減っていない印象です。
この方も土台はある程度あり、組織が薄い方でしたので、後戻りも少なく効果が保ちやすい感じでした。
いかがでしょうか。 1週間後にボリュームがぐっと減る人もいれば保ちやすい方もいたかと思います。

ただ、直後は効果がしっかり出た感が一番ある時期で、1週間でなじんでいくのが何となくわかっていただけたかと思います。
戻り具合に関しては部位によっても違う印象があります。
また、組織が厚く硬いとか薄くて柔らかいとなどの個人差もある印象です。

涙袋など柔らかい組織では後戻りが強い印象は少ないですし、 組織が薄くて柔らかい人で土台がしっかりしている人もあと戻りが少ない印象があります。
組織が厚くて硬いとそもそも上がりにくいですし、後戻りも強い印象があります。 なので、後戻りと言っても一口に言って皆同じではなく、部位や個人差があるとは思います。

 

 

鼻先のヒアルロン酸について

 

ここで、少し鼻先のヒアルロン酸についてお話しします。

鼻先は、土台も柔らかく皮膚が厚い部分で、手術で軟骨をしっかり形成してもある程度後戻りすることがある部分ですので、ヒアルロン酸で長期的に効果を保つのは難しいのではないかと思います。 後戻りもしやすい部位です。
なので、探すのが難しいかともしれませんが、とくに1週間後の症例写真を探して参考にしていただくのが良いかと思います。

また、鼻先は血流も繊細な部位なので血流障害のリスク部位です。
血管に直接入らなくても狭い鼻柱や膜性鼻中隔に大量のヒアルロン酸を注入すると圧がかかって血流が不安定になるリスクや感染のリスクもあります。
上りにくい鼻先にしっかり量のヒアルロン酸を入れるほどに、リスクはさらに増しますし、鼻腔内に粘膜がふくらんで突出して鼻の通りが悪くなるリスクもあります。
あとは、鼻先からカニューレで入れるので安心とかいう話も聞きますが、カニューレでも普通に血管に誤注入は起きます。
鼻先から鼻根にカニューレでヒアルロン酸を入れて失明した例も複数報告されています。

 

そのあたりのリスクについても今後コラムで話させてもらいます。
予期せぬ血流障害が起きてしまうと、鼻先が高くなるどころか、鼻先が壊死して目立つ傷が一生残ってしまうことになりますので注意が必要です。
今までそういう障害を起こしたことがないというのは大丈夫という根拠にはなりません。すべての先生にリスクはあります。

どんな施術であっても少ないながらリスクはゼロにはできません。鼻先のヒアルロン酸をやるのを否定はしません。
ただ、後戻りや血流障害などのリスクを知った上でやった方が良いということです。 直後の画像だけで判断して施術を受けるのはお勧めしません。

あとは、鼻先からカニューレで入れるので安心とかいう話も聞きますが、カニューレでも普通に血管に誤注入は起きます。
鼻先から鼻根にカニューレでヒアルロン酸を入れて失明した例も複数報告されています。
そのあたりのリスクについてもコラムで話させてもらいます。

 

 

オペ以外ならミスコがおすすめ

 

ちなみに、鼻先を切らずに高くしたいというなら、MISKOという溶ける糸を針で入れる治療の方が確実に鼻先を高くできて、重篤なリスクも少ないのでお勧めです。
ミスコも1週間ほどでなじみますが、手術をしたのかと思うほどしっかり鼻先を高くすることができます。
また、テント上に鼻先を高くしますんで鼻先を細く見せる効果も出ます。
高さを出す方向は調整できて、鼻先を高くもできますし、伸ばすこともできます。
ヒアルロン酸では鼻先を下方向に伸ばしてアップノーズを改善することは難しいですが、ミスコでは可能です。
半年ほどすると糸は完全に吸収されて、瘢痕もほとんど残りません。

 

鼻先ヒアルロン酸の場合は、時間が経って高さが戻っても、手術をしてみると大量のヒアルロン酸が残っていて、人によっては膜性鼻中隔がこぶのように鼻腔に飛び出していたりします。
ミスコはそのようなことはありません。
短い効果なのに、鼻腔の粘膜に大量のヒアルロン酸が何年も残るのはリスクありますよね。
ミスコは、ヒアルロン酸より安全ですし、鼻先を高くする効果は高いです。
高さを出す方向もその方の鼻に合わせて変えられますし、個人的にはヒアルロン酸よりおすすめです。

 

ミスコは2,3日のダウンタイムはありますが、短時間で終わる施術です。
ヒアルロン酸よりミスコをやれば良いのにと思っていますが、SNSの力が大きいのかなと思います。
個人的には、鼻先はミスコ、鼻根はヒアルロン酸で高くするのがプチ整形では一番効果も高く持続性もあるのでおすすめです。
そんなミスコの症例写真を見てもらいましょう。

 

MISKO症例

(処置前)⇒(1週間後)

MISKO症例処置前1
MISKO症例1週間後1
MISKO症例処置前2
MISKO症例1週間後2
MISKO症例処置前3
MISKO症例1週間後3

ミスコの1週間後の効果です。
通常ミスコは8本の糸を入れますが、症例写真の方は下方向に4本、前方方向に4本糸を入れることで鼻先を斜め下方に伸ばしています。
それぞれ入れる本数を調整することで鼻先を高くしたり、伸ばしたりできます。

1週間後の正面では、鼻先が伸びてやや鼻の穴が目立ちにくくなりました。
テント上に鼻先が持ち上がったことで鼻先はすっきりと細くなりました。
横から見ると鼻先がシュッと高くなったのがわかりますね。しっかり高くなっています。
左斜めから見ても鼻先がシュッと斜め下方に伸びたのがわかります。 1週間後にこの効果はヒアルロン酸では難しいのではないでしょうか。

 

症例写真について思うこと

 

さて、話を戻して、ヒアルロン酸注入ですが、今まで、直後の状態は本来の効果ではないと言ってきましたが、誤解しないでもらいたいのは、直後の画像を載せない方が良いと言っているわけではありません。
直後の画像は一番効果としては分かりやすいです。
なので、どういう風に効果が出るかをイメージするのにはとても大切だと思います。

ただ、本当になじむ1週間後が本当の効果で、それから徐々に、半年とか数年かけて吸収されていきますよ、それを知っていてくださいということなんですね。
なので、SNSなどでヒアルロン酸の直後の症例をバンバン出しているクリニックは、直後の過剰な効果ばかり載せずに、ヒアルロン酸が安定した1週間後の本来の状態をきちんと載せてほしいと思っています。
逆を言うと、直後だけでなく、1週間後以降の画像を載せているクリニックは良心的と言えるかもしれません。

これまで、1週間である程度戻る戻ると言いましたが、では、減るぶんたくさん注入すればよいかということになりますが、一概にもおすすめはできません。
ヒアルロン酸は注入しすぎると横にも広がって、鼻根部ならアバターになったり、アゴならコブのように丸い顎になる可能性があります。
なので、おすすめとしては、ヒアルロン酸がなじむ1週間以降に物足りないと感じた場合はタッチアップといって再注入すると良いです。
そうすると1回目で土台ができているので、さらに注入すればより上がりやすくなります。
タッチアップすることで処置直後に近い効果に少し近づけたりより持続効果を出せる可能性があります。
ただ、鼻先やアゴなど、すでにある程度の量がしっかり土台に注入されて、すでにいっぱいいっぱいに上がっている場合はそれ以上あげるというのは難しいかもしれません。

 

 

まとめ

 

まとめますと、要はSNSなどで話題になっている処置直後の症例写真は完成の状態ではないから注意してほしいということです。
ヒアルロン酸の効果が完成するのは1週間後です。 本来の形になる1週間後の状態の症例写真が現実的です。
効果のイメージを知るという点については処置直後の画像は良いと思いますが、そればかり症例写真を出すのは良くないと思っています。

また、鼻先のヒアルロン酸に関しては、今言った後戻りや血流障害などのリスクを知っていただいたうえでやっていただければと思います。
何か異常があれば早期に対応する必要があるのですぐに処置してもらったクリニックに連絡して対応してもらうことをおすすめします。
ヒアルロン酸は溶かせるというメリットがありますので、すぐであれば対応が可能です。時間が経つと取り返しがつかなくなることがあります。
あとは、鼻先にヒアルロン酸を入れるならミスコの方が安全で、高さも長さも出しやすいのでおすすめです。

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~執筆者紹介~

西尾 謙三郎 医師
医師
もとび美容外科クリニック 院長
西尾 謙三郎
経歴
平成14年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
平成26年 もとび美容外科クリニック開院
資格
美容外科専門医(JSAS)
日本アンチエイジング外科学会専門医
アラガンボトックスビスタ 認定医
所属学会
日本美容外科学会(JSAPS)
日本美容外科学会(JSAS)
日本形成外科学会
日本美容皮膚科学会
日本加齢医師会
日本レーザー医学会
日本美容外科医師会
18年以上の実績を持つ美容外科専門医。丁寧で繊細な施術でお客様の望む実現を目指す。
「お客様のもつ本来の美しさを引き出す」ことをモットーに「もとび」美容外科クリニックを設立。

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